キャラ選択学入門

今日もどこかで誰かの「初心者は強キャラを使え」という叫び声が聞こえる…

 

その叫び声を皮切りに「初心者は強キャラを使え論争」が勃発するのだ。



「初心者は強キャラを使え論争」とはどういう論争か説明すると、

 

「異なる性能を持ったキャラ・武装等の選択があるゲームにおいて、初心者が適切でない、あるいは微妙な強さのキャラ・武装等を選択した結果生じる様々な問題に関する論争」の事である。

 

一般的には不特定多数がチームを組むようなゲームにおいて勃発する事が多いが、状況によっては1vs1の格闘ゲームでも勃発する

 

私はこの「初心者は強キャラを使え論争」に関して見かける度に辟易としていたので、私見を残しておこうと思う。



〇 各方面の主張


具体的に問題点だと主張されがちなのは主に以下の①と②である。

 

①チームゲームにおいて味方 の負担となる。(実際なってるかは別として)

②キャラの自虐を聞かされて鬱陶しい。

 

また、初心者がそのゲームにおいて定着して欲しいという願いから

 

③成功体験が簡単に得られるキャラを使ってほしい。

 

という視点で議論される事があるが、大体ゲームプレイの入口は使いたいキャラがいたり、特定の誰かと一緒にゲームをしたかったりが主な理由であったりするので、成功体験はそこまで関係無いのではないかと考えている。

 

それ以上にチームゲーにおいては①や②に起因する外野からの野次や、ギスギスしたやり取りが大きな負担となりえる。

 

結局のところ、③は①と②を発生させないための予防策である側面が大きいと考えられるので、とりあえず①と②に関する所を掘っていこうと思う。

 

 

〇 ゲームにおける「キャラ選択」は使用する「道具」の選択である



恐らくフィジカルスポーツにおいて「各個人において最も能力を引き出す適切な武器が様々な形で存在する」という発言をした場合、全員が全員「そんなの当たり前だろう」と言い出すだろう。

 

野球におけるバットやグローブは色んな形や重さの物があるし、サッカーにおけるスパイクの形状も様々だ。

 

基本的に小さな身体に大きな武器を持つ事は難しいし、大きな身体は小回りは利きづらい。

 

この話は以前書いた「ガチ勢エンジョイ勢論争」に関する記事で言及したが、武器で例えると大概の人はすんなり飲み込んでくれる。

 

実際の所重すぎる武器は子供には使えないし、相手を倒すという目的の達成の仕方を多角的に想像可能だし、誰もが経験した事があるからだと考えられる。

 

mekasue.hatenablog.com



しかし、ゲームのキャラクター選びにおいて同じ発言をすると「そんなわけは無い」という論調が沸き起こる。

 

これは何故か?

 

ゲームは絶対的な数値の統制によって動いているからである。

 

ボディビルダーがAボタンを押しても、赤ちゃんがAボタンを押してもそれは全く同じ力を発揮するから、反射的に「差が無いはず」という認識をしてしまう。

 

しかしながら、実際の所はキャラクター性能が個人個人で合う合わないというのが明確に存在する。

 

 

一番分かりやすく想像がしやすい例は、キャラの速度が非常に早すぎたり、固有のゲージが余計にあったり、あるいは非常に複雑な操作が必要だったりで、個人個人の情報処理能力の差が大きく影響する場合である。

 

単純に手先が不器用な人や情報の処理能力が低い人はシンプルなキャラクターを使った方が良いだろう。

 

一方、複雑なゲームにおいてのみしか腕の差が出ないかといえばそうでもない。

 

単純にもの凄い反射神経が良い人が、もの凄い発生の早い攻撃を持ってるキャラクターで蹂躙をするのが最強と思いきや、少し反応が悪い人が同時にカウンターの攻撃を持つキャラクターのボタンを押した場合は勝てたりもする。

 

運ゲー」だったり「噛み合っただけ」と例外化するのは簡単だが、あまりにも噛み合い過ぎているという事例は常日頃起こっている。

 

確かにキャラクターのステータスの面で明らかに理不尽な偏りがある事は往々にあるが、実際の所キャラクターという道具の適正は無視出来ない程度には大きな要素である。

 



〇 その「勝ちたい」は目的なのか?手段なのか?

 

最初によく論争の焦点となる例として挙げた

 

①チームゲームにおいて味方 の負担となる。(実際なってるかは別として)

②キャラの自虐を聞かされて鬱陶しい。

 

という2点は実際の所「初心者は強キャラを使え」というアドバイスで解決する例はほとんど無い。

 

そう主張する人は根本的にこの問題の本質を理解していない。

 

掘っていけば「何故、人間が分かり合えないのか」という議論にまで達することとなる。



最も重要なのは各々の「目的」と「手段」を明確化して整理する事にある。

 

例えば「勝ちたい」と言っている人がいたとしよう。

 

皆さんだとこんな人にどういうアドバイスをするだろうか?

反射的に「強キャラを使えばいいよ」と言うだろうか?

 

その人はどうやって「勝ちたい」か考えた事はあるだろうか?



ただ「勝つ」というのにも、ただ目の前の試合にも勝ちたいのか、高い勝率を維持したいのかで全くアプローチが異なってくる。

 

また、誰にでも勝ちたいのか、それとも特定の個人に勝ちたいのか、あるいは大会等の場で勝ちたいかでも全くアプローチは異なる。

 

勝率に関して考えてみても、短期的に高い勝率を維持したいのか、長期的に高い勝率を維持したいのか等、時間軸による変化も生じる。

 

本人は「勝ちたい」という意識かもしれないが、実際の目的は「負けたくない」だったり「バカにされたくない」だったり「迷惑かけたくない」だったりする場合ももちろんあるし、もしかしたら「弱い物いじめがしたい」だけかもしれない。



また、「大会に勝ちたい」にしても、最終の目的が「プロになりたい」だったり「ただ単にちやほやされたい」といった理由まで様々な目的である可能性がある。

 

目的の手前にある「勝ちたい」は目的を達成するためのただの「手段」であって、決して目的ではない事を認識する事が極めて重要である。

 

もちろん「特定のキャラで勝ちたい」が目的なのであれば、キャラを変えてしまったらゲームの勝敗以前に負けてしまっている。

 

▲ゲーム自体の生存戦略だったりもする (ワールドトリガーより)



 

よく「少なくとも、チームゲームにおいては勝利を目指してくれないと困る」という人もいるが、勝利条件は状況によって無限に存在する中で自身の目的と他人の目的を一致させるのはほぼ不可能だ。

 

「一緒に(共通認識としての)勝利を目指す戦いをした上の勝利」が目的ならば、共通の目標に付き進める仲間を探すべきだし、ランダムに遭遇する相手と自分の理想の勝利を目指したいのであれば如何にして自身一人の力でそれを為すかを真剣に考えるべきである。

 

その努力をせずにそういうボヤきをする人は自身が非難してる①や②の人と大して変わらない、周囲の人々にとっては大変煩わしいものである事を認識した方が良い。

 

 

〇 目的の仮設定をする。

 

最初に目標の仮設定をしよう。

そうすれば次に手段を設定出来るようになる。

 

先に述べたような明確な目的の設定が出来る人はほとんど存在しない。

 

経験値が無い分野において明確な目標設定が最初から出来る人は皆無といってもいいだろう。

 

ただ、360度どの方向に進んでもいい状況だと人間は中々歩き出せない。

 

先に挙げた「勝ちたい」等だと、何となくボンヤリと方向性が指定出来る。最初はそんなボンヤリしたもので良い。

 

実際の所、ほとんどの人がもっとフンワリとした目的を設定して行動しているし、何なら目的が気分によってコロコロ変わる人もいたりする。

 

人の原動力は「面白そう」と感じる心だったりすると考えているので、本当にそんなので良い。

 

mekasue.hatenablog.com



ぼんやりと方向性を決めたら、次は手段の決定である。

 

ここで出てくる「手段」とは、そう、「キャラ選択」となる。

自分の目的の達成に適切なキャラを選ぼう。

 

ただし、先に述べたように初心者の多くは特定のキャラを使う事自体が目的となっているので、キャラ選択自体が目的となっても良い。

 

その場合は目的としてキャラを選択し、どうやって使いこなすか?という手段を考えるフェーズに入る。



しかしながら、実際のところは「キャラ選択」を「手段」として捉えられない人が多い。

 

先述の通り、初心者がゲームを始める理由が「特定のキャラクターが好きだから」という理由は本当に多い。

 

一方で例えばスプラトゥーンにおいて「ホクサイという武器が使いたいから」という理由でゲームを始めた人は見た事あるだろうか?

 

やはりキュートなキャラクターやみんなでワイワイ出来るゲーム性が最初の目的となる。



こういった武器選択型のゲームでは変更に抵抗が無い人が多い。

 

これは自然と「武器選択」を目的達成のための「手段」と捉えられているからだと思われる。

 

ただ、使用している内に武器に愛着を持つ人もいるわけで、「この武器を使って勝ちたい」という目的を持ったりした人はその後に武器を変える事はナンセンスとなる。

 

 

こうして目的を設定して手段を最適化させて頑張っても、残念ながら目的を達成出来ない事は往々にしてある。

 

なんなら目的を達成するためにピッタリの手段(キャラ)があるゲームの方が非常に稀である。

 

そういう場合は酷な話であるが、どこかで見切りをつけて別のゲームに移るのを検討して良いのかもしれない。

 

必ず経験値は上がっているので次に挑む場合確実に目標を明確に立てれるようになっているだろう。

 

もしもどこかでピッタリのキャラに巡り合ったらゲームの開発元に感謝しよう。

 

 

これまでの話をもとに実際にLeague of Legendsというゲームを始めるにあたって実践してみた記録は以下の記事に残してみたので参考になればと思う。

 

mekasue.hatenablog.com

 


〇キャラ選択の傾向分析は学問になりえるか?

 

以上でキャラ選択とはどういった事象か?という話はご理解いただけたと思う。

 

早い話が頭ごなしに「強キャラを使え」と言うのは大体は間違いで、本当は相手の目的をヒアリングして適切な手段を一緒に考えてあげる事が最も建設的な行動であろうという話だ。

 

是非実践してみていただきたい。

 

 

そして、私はこのキャラ選択のプロセスに、特に近年において非常に新鮮で興味深い変化が生じていると考えている。

 

この記事のタイトルも「キャラ選択学入門」と名付けたのには理由がある。

 

様々なゲームにおける「キャラ選択」は、異なった性能を持つキャラという手段がどのような目的達成のために用いられているかを体系化する社会学的な側面を持つと考えている。

 

これまでの人類史において平等な性能の道具を不特定多数が一斉に使い始める事なんて事は無かったはずだ。

 

ゲーム史においても全世界同時発売、同時アップデートなんて事が当たり前になったのは割と最近の事である。

 

様々な人種の人々が全く異なるルール下で自分に合うと考えた道具を持って競技を始めるような事が連続的に置き続けてるという事象は、人間の内面に迫るための重要な事件なのではないかと考えている。

 

 

実際問題、キャラ選択の傾向によって人物のかなり正確なプロファイルが可能であると感じている。

 

20年以上格闘ゲームをやってきて、それこそ何十タイトルと触れており、そのうちいくつかは全国大会に勝ち上がる程度にはプレイしており、全国津々浦々色々なゲームセンターにも遠征してプレイヤーとの交流を深めてきた。

 

似たようなキャラを選ぶ人達は似た性質を持ち合わせているし、複数タイトルで傾向が同じならその分要素が強く濃くなっていく。

 

 

一例として、GGXXACというゲームにおいて、「ヴェノム」というキャラが「テクニカル」と認識され、「スレイヤー」というキャラが「脳筋」と認識されていた事に対して「どっちも脳筋だろ!!!」と非常に腹が立っていた時にアンケートを取った事がある。

 

どういう結論だとみんな納得するか?と考えながら、プレイヤーの平均年齢が30歳くらいと推測された事もあり「とりあえずみんなが答えれそうな最終学歴でいいか」と取ったアンケートの結果が以下の通りである。

 

Twitterのアンケート機能を使用

 

結構な回答数で協力してもらったのだが、結果は「2キャラの間には有意差無し」であったので私としては今後「どっちも脳筋キャラだよ」と説き伏せれると納得が出来た。

 

ただ、予想外の点として、2キャラ共大学院卒の割合が全国平均と比べて異常に高く、「ヴェノム」に至っては全国平均の4倍近い結果になった。

 

これは格闘ゲーマー自体が研究志向のプレイヤーを一定数抱えているのもあるだろうが、「ヴェノム」の方がトレーニングモードを活用したセットアップの構築を考える楽しみの幅が大きいという事に起因しているのではないかと推測している。

 

上記の例は全23キャラ中の2キャラのしかも学歴差だけという何ともお粗末な比較ではあるが、様々なアンケートを取れば面白い結果がたくさん出てくると確信している。

 

〇 余談 車を選ぶ


例えば「車選び」は「キャラ選択」と同じ傾向にあると考えており、多くの人に説明するには良い題材なのではないかと考えている。

 

目的があって、手段を選択する。

 

通勤だけなら小型の燃費の良い車が良いだろうし、家族がいるなら休日の遠出も考えてファミリーカーを選ぶだろう。

単純に乗りたい車があるのならば燃費が悪くとも、故障が多くとも乗れば良い。

 

愛着のある車に乗るのが目的の人もいれば、その車と共にレースを目指す場合もあるだろう。

 

重要なのはただ必要最低限の道路交通法は守る事のみである。

 

ただ、高速道路に乗る場合、ノロノロしか走れない人は別に走るなとは言わないが、道を譲らないとひと悶着が起きたりする事があるのを知ってくべきではある。

 

追い抜く側も幅寄せはダメだし、前に出て急ブレーキをかけるなんてもっての他だ。

ルールの範囲内でマイペースに運転しよう。

 

 

如何だろうか?

都会の人は分かりにくいかもしれないが、車が必須で常日頃運転している田舎の人はニュアンスを理解していただけたかもしれない。

 

そして、そうすると何故プリウスに乗ってる人が揃いも揃ってあんな感じか見えてくるかもしれない。

 

私はプリウスを見たら「投げキャラが来たな」と認識している。

 

▲選択が変わる時は、知識を得て選択肢が増えたか、そもそも生き方が変わった時だ