グランブルーファンタジーヴァーサス(GBVS)に見るヘラりと怒りの要因分析

皆さん楽しんでGBVSをプレイされてるでしょうか?


私はかなり楽しんでおります。(ランクマは現在AとSを往復してます)

 

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GBVS、オススメの格ゲーです

ドラゴンボールの時もそうでしたが、新作の大型タイトルは色んなところから人が集まって来るのがいいですよね。


しかもグラブルは滅茶苦茶シンプルに作ってあるので参入障壁が未だかつてないほど低くて、ストリートファイター勢をはじめ、2D格ゲー勢に留まらず、3D格ゲー勢や、そもそも別ジャンルのゲーマーだったり、それこそ真っ新な初心者さんだったり、色んなプレイヤーを見かけます。

 

最近だとマゴさんの配信が大盛り上がりでしたね。
これぞ"プロ"って感じがしました。スト勢のタレント性はやはり凄い。


さて、そんな界隈で盛り上がってるGBVSですが、同時に割と大きな問題を抱えています。

 

はい。タイトルにもありますがSNS各所でヘラりが散見されることですね!

 

※ヘラる…ネットスラング。精神的ダメージを受けるなどして(一時的に)落ち込んでいること、気分が塞いでいること、情緒不安定になっていること、感情の起伏が激しいこと、精神的に張りつめていること、感情的になっていること、普段ならしない発言や奇行があること、ヒステリックになっていること、などを表す言葉として気軽に使われる。

 

「各タイトルでボってきたツケだ」とか「あのキャラ使ってて言うのはどうか」とか過激な発言も色々見かけますが、いい機会なので何故このゲームがこんなにヘラる人を多数製造しているのか原因解析していきたいと思います。

 


〇そもそも何故ヘラるのか

 

落ち込んだり、情緒不安定になるのはいつだって何か原因がありますよね。

 

何の原因も無く日常からなってるなら、こんな文章読んでないで即病院でお薬をもらってきてください。間違いなく診断書が出ます。

 

さて、ではその原因は何なのか?


包括すると「失敗したから」じゃないでしょうか?

 

「失敗」には大なり小なりいっぱいあります。

 

「いいとこで噛んじゃった」とか「オーブンレンジ爆破しちゃった」とかもありますし、「生まれてこなければよかった」とかもまぁ生まれちゃってるわけですから極論ですと「失敗」なわけですね。

 

ただ、失敗したからといって全人類がヘラってるかと言われればそうではありません。
ヘラりに突入するためには「失敗」に別の観念が付く必要があります。

 

それは『恥』という観念です。

 

 

〇恥ずかしいってなんだ?

 

「恥ずかしいこと」って何をイメージするでしょうか?


「全校生徒の前でスピーチ」することや「電車でうんこを漏らしてしまった」こととかでしょうか?

 

「音楽を聴いてると思ったら、イヤホンジャックが外れてて大音量でスマホから流れていた」ら恥ずかしいですかね?

 

でも、全部一人暮らしの自宅で発生していたらどうでしょう。


スピーチを噛んでも練習だと切り替えられますし、スマホから流れててもそれはそれでいいし、極論うんこを漏らしてしまっても一人で処理して誰にも言わなければいいことですよね。

 

「恥ずかしいこと」には大体人が介在しているのがお分かりになるでしょうか。

 

一方、分数の割り算の解き方が分からない場合を想像してみてください。恥ずかしいんじゃないですか?
それじゃあ、二次関数の接点tにおける角度の求め方とかはどうでしょうか?恥ずかしいか微妙ですか?
フェルマーの最終定理の解き方が分からない場合はどうでしょうか?

 

そもそも知らないと恥ずかしがりようがありませんよね。

 

もうお分かりでしょうか。


恥ずかしさの正体は「出来るはずのことが出来なかったことが周知されてしまうこと」です。

 


〇出来るはずのことってなんだ?

 

生命活動において 皆さん様々なことを無限に行っています。

 

息が出来てますし、心臓も動いてます。
これ読んでる人は100%出来てると思います。


「英語を喋れる」だとどうでしょう?

喋れなくてもあんまり恥ずかしいって感情は無いんじゃないですか?


海外に頻繁に行くような人って10%もいないんじゃないかと思います。

 

それじゃあシチュエーションを限定して、6人ぐらいで大学の卒業旅行とかだとどうでしょう。


1人だけ仮に英語を喋れる人がいて、みんなが彼を頼っていても自分が「恥ずかしい」とはならなくないですか?

これが6人中5人が英語ペラペラで自分一人だけ全然喋れなかったら…?


みんな同い年でみんなと同じ教育課程を受けてきたのにもかかわらず自分だけ喋れない。

そんな時、貴方は恥ずかしいと感じるんじゃないでしょうか?

 


不思議なもので、「出来るはずのこと」は環境によって大きく変化するようです。

 

よく言われるのは「〇〇はできて当然」だったり「〇〇は常識」みないな話でしょうか。


そして、常識なんてものは分野が変われば通用しなくなりますし、文化圏が違えばまるで真反対みたいなこともあります。

 

「自分一人だけがこれが出来る」みたいな状態になれば優越感が得られるわけですね。(私はこれをプライドと呼んでます)


では恥ずかしくなる分岐点はどこなのか?

私は「平均値」だと推測しています。

 

「これは出来ていなければならない」とか「これはみんな出来てないから別に私が出来なくても不思議じゃない」とか考えたことはありませんか?

 

ただ、この平均値というのがクセモノで、具体的に数値が出ていたりするものはそれを参照するのですが、数値化されていないならばこの平均の算出方法は「認識できる範囲」になってしまいます。

 

つまり、自分と相手と二人しか参照範囲がいない場合、相手ができて自分が出来てないとたちまち平均値50%を切って「平均より下」に陥ってしまい、別に出来なくて不思議じゃないことでも、たちまち出来ない人になってしまいます。

 

〇自意識によるグループ分けの罠

 

さて、この認識を狭めてしまったが故に陥る罠があります。

 

先に書いた「〇〇は常識」と同じ話で、自分の所属してる場だと平均(50%以上の人)が出来て当然だけど、文化圏が異なるとまるで違うという話がまさにそれです。

 

特に第一線で活躍するようなエリート集団にありがちですが、特定の分野のプロフェッショナル達が集まる世界ですと全ての物事の要求レベルが高くなってしまい、本来は全ての能力が全体平均より抜きんでてるとしても、その集団だと落ちこぼれという扱いになってしまうわけです。

 

例えば「画を書く」だとデッサン(構図)⇒下書き⇒線画⇒着色みたいな工程があるとして、絶望的にデッサン部分が苦手なら諦めもつくんでしょうけども、「第一線の中で比較すると下手」なら恥ずかしくなってしまいます。

 

今回のGBVSならどうでしょうか。

 

「対空が出ない」とか「ヒット確認が出来ない」とか「差し替えしが出来ない」とかいういつもの格ゲーの小さな要素でヘラってるのでしょうか?そうじゃないですよね。
最も大きな要素は「ランクマッチ」によるところになってます。

 

プレイしている方は分かると思いますが、GBVSのランクマッチは今のところ正直これまで発売されたどんな格闘ゲームよりもシビアだと思います。

 

そんなシビアなゲームの中でこれまで自分が「同レベル」だと思ってた集団よりも平均のランクが低かったら?

 

どんなにその人が一般的に見て強かったとしてもその人自身はそれを「恥じ」、ヘラりに突入してしまう訳です。

 

この辺は以前書いた「世界ランク理論」という文章に大体の理屈を書いてますので、お時間があれば読んでいただければと思います。

mekasue.hatenablog.com


まぁ早い話が、イキったプライドが折れてる瞬間です。

 


〇何故、GBVSは怒らなくてヘラるのか

 

これもまた面白いところなのですが、GBVSはびっくりするほど「怒り」より「ヘラり」の方が多いです。

 

最初の方に書きましたが、ヘラるには恥ずかしくなる必要があり、そのためには「原因が分かっている」必要性があります。

 

「俺はダメなやつだ」には「こんなことも出来ないなんて俺はダメなやつだ」という言葉が省略されているのです。


逆に怒ってる人に理由を聞いたら何て答えるでしょうか?

 

「〇〇という要素がクソ」「△△という技が悪い」

 

何かを対象にしたものばっかりですね。

 

では自分に対して怒るでしょうか?


多分それは怒りではなくヘラりになりますよね。

 

 

これらに対処法が一切存在しないならそのまままかり通りますが、確定反撃やらそもそも振らせないようにするやら対処法を持つようになってくると、「出来なかった俺が悪い」ということになります。

 

つまり理解可能な要素には「ヘラり」、一方で理解しきれない要素に対して「怒り」が発生します。


GBVSはそのシンプルなゲーム性から敗北理由が非常に分かりやすいです。


その上今回はシビアにランキングで自分の位置が可視化されてしまっているので、原因と結果を同時に突き付けられてしまってます。

 

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おーささんのTwitterより 2/15時点のランク分布。S帯以降はマジでつえぇ

 

逆に怒ってるプレイヤーが多いゲームと言えば…僕はLoLをはじめチームゲーやカードゲーだと思うのですが、あれは要因を無限に味方や引き運に責任を転嫁可能だからだと考えています。


仮に自分が悪くとも、原因が厳密に分からないのでヘラる要素が無いのです。

 


〇ヘラりも怒りもしないプレイヤーになるには

 

これも先にあげた世界ランク理論という文章にあるのですが、自分の現在の実力と世間的な実力の認識を可能な限り近づけていくことが重要となります。

 

その可能な限り近づけた先にある概念が「仕方ない」です。

 

「仕方ない」は現在の自分の能力に折り合いをつけ、出来ないことは出来ないと認める行為です。

 

「ここは実力が足りなくて出来ないから、別の人に頼む」
「同じ方法では出来ないから、別の方法を探す」

 

柔軟な思考や解決法は「仕方ない」の先に生まれます。

単純作業が死ぬほど苦手だと分かってるから、やらないように便利にしようとします。


ヘラりを解消する魔法の言葉はこの「仕方ない」になります。

 

ただ、怒りには「仕方ない」は効きません。

一時的には効果はありますが、原因不明なことを仕方ないで「仕方ない」で押し込み続けるとその内精神の許容量に限界が来て爆発してしまいます。


よく言う温厚な人が突然バッチバチにブチギレる現象です。

 

先に書いたようにヘラりと怒りの差には「原因の理解」があります。


出来るだけ怒りが発生してる原因を理解し、自分の中の問題に落とし込むことで、次のフェーズの「仕方ない」で折り合いをつけ、自分の色を出していくのです。

 

常に自分の実力通りであり、出来ることは出来るし、出来ないことは出来ないし、仮に出来るはずだったことが出来なかった場合はちゃんと原因分析をし続けていれば、恥ずかしい事などこの世にには存在せず、当然ヘラることもありません。

 

怒りの原因が自分の中に落とし込めないなら、それらに関わらないようにすれば怒るようなこともありません。

 

簡単に結論を書きましたが、人生の一番大きな課題な気がしてます。


その先に自我の確立があると信じて。